プライスウォーターハウスクーパース株式会社 総務部マネジャー 杉山優子氏

(小澤)本日はありがとうございます。杉山さんには先日のドウマ第一回セミナーでも講師として登壇していただきました。セミナーでは、プライス ウォーターハウスクーパース株式会社およびあらた監査法人の東京オフィスの移転について具体的なケーススタディーを紹介いただきましたので、今回は、オ フィスづくりについて普段杉山さんが考えておられること、感じていらっしゃることについてまず語っていただきたいと思います。
(杉山)私はM&Aにともなうオフィス環境の大きな変化をファシリティーマネジャーとして何度も経験しました。このことは、オフィスづくりで何が大 切かに気づく上で大変役立ったと思います。私の場合、常に人とオフィスの関係に配慮することを心がけています。M&Aが起こるとどうしても会社の仕組みや 組織などの大きな枠組みに目が行きがちですが、オフィスをそうした視点だけで捉えるとそこで働く社員が置き去りにされる可能性が出てきます。ですから、ま ずは、社員の視点でオフィスをとらえることが大切だと思います。
(小澤)今回移転で杉山さんといっしょに仕事をさせていただいた時に印象に残ったのは、ワーカーの方々との対話に時間を惜しまない姿勢でした。社員 の方に参加意識をもってもらうという点を非常に大切にされていますね。ワークプレースコンサルティングを導入してプログラミングを実施するというアイデア も杉山さんが経営トップに提案されて実現したわけです。
(杉山)何らかの方法で、全社員を巻き込んでオフィスづくりをすることが、いいものをつくるには必要だと思います。また、直接フェイスツーフェイス で社員の皆さんとオフィスのあり方を議論することは、オフィス変革の意味を理解してもらう上で、欠かせないステップです。自分たちで考えてつくったオフィ スといえるオフィスが理想だと思います。もちろん、その過程では意見の違いやコンフリクトもあるわけですが、だからといってこのステップを踏まずにお仕着 せのオフィスをつくっても活用されないものになります。
ですから、ワークプレースコンサルティングを企画段階で実施することを提案しました。
こうした考え方は外資系企業の特徴かもしれませんが、オフィスは全社員にかかわることですから誰もが言いたいことを持っているという点は日本企業も同様だと思います。
(小澤)私もワークプレースコンサルティングの一環でワーカーの方へのインタビューを行いますが、普段寡黙な方もオフィスについて語っていただくと 饒舌になる方が多いようです。この点は、外資系企業も日本企業も同じです。それだけ働く場についてはどなたも関心が高いということでしょうか。
(杉山)オフィスは、企業文化の違いを調和させ、働き方の変革を現場に浸透させる上で非常に重要なマネジメントツールだと思います。これは私の部署 でのことですが、デスクパネルを思い切って無くしたところ、一気にコミュニケーションが活性化しました。もともとお互いの会話が阻害されるような高いパネ ルではなかったのですが、それでもスタッフのコミュニケーション行動に変化がみられました。この事例は小さなものですが、オフィス全体をマネジメントツー ルという発想でとらえなおせば、さらに大きな影響をワーカーに与えられることを物語っていると思います。
(小澤)杉山さんはiPhoneを積極的に導入して大きな成果を出していらっしゃいますが、その導入経緯、成果についてお話いただけますか。
(杉山)コンサルティング会社は基本的にモバイルワーカーの集団ですので、iPhoneの導入は私にとっては当たり前のことでした。スマートフォン が登場した時点で、そのメリットと可能性を直感的に理解しましたので、いち早く導入するよう社内的に動いたわけです。結果は、eメールというコミュニケー ション手段がそれまでの何倍もの効率とスピードで活用されるという業務革新を生み、同時に先端的なワークスタイルを顧客にアピールするというパブリシ ティー効果もありました。
(小澤)杉山さんは常にオフィスワークの未来を見据えていらっしゃるようですが、今後特に大きな変化があるのはどのような分野だと思われますか。
(杉山)やはりクラウドの可能性に注目しています。今の時点で詳しくはお話できませんが、ワークスタイルに大きな変革をもたらすことは間違いないと思います。
(小澤)すでに新しい動きが始まっているようで、今後の杉山さんの動きに目が離せないと感じました。今後ともよろしくお願い致します。本日は長時間ありがとうございました。