天明三年(1783年)日本橋で創業以来200年以上に亘り紙の専門卸商社として歴史を刻んできた老舗企業が、オフィスの見直しを通じた働き方の変革をスタートさせました。今回は、こうした取り組みをはじめられたきっかけや、今後期待されていることなどを9代目となる中村社長にインタビューしました。
小澤:約5か月前に、弊社でワークプレイスコンサルティングをさせていただき、現在は、自社ビルの耐震補強工事のプロジェクトと同時にオフィスの変革を進めていらっしゃるところだと思います。まず始めに、こうした取り組みをはじめられたきっかけをお聞かせください。
中村:このビルは築40年ですが、竣工当初からこの界隈では先駆的なオフィスビルとして、また構造的にも堅牢なつくりの建物として誕生しました。昨年の東日本大震災の折も問題はなかったのですが、直下型大規模地震に備え耐震補強工事を進めようと考えていました。その際は、オフィス内も刷新したいという希望をもっておりましたところ、ご縁があってドウマさんにオフィスのコンサルティングをお願いしました。
小:ワークプレイスコンサルティングの何処に魅力を感じていただけたのでしょうか。
中:まずオフィスをつくるには働き方を見据えることが重要だという点に共感しました。普段、仕事に追われていると自分たちがどのような働きかたをしているのかを客観的に知ることは困難で、第三者に専門的なツールを使って調査していただく必要を感じました。
小:これから、具体的にリニューアル工事が始まる訳ですが、オフィスの刷新で、どのようなことを期待されていますか。
中:紙の業界は、人と人のつながりを非常に重視しますので、社員にとってもお客様にとっても居心地よく、自然に集まってきたくなるようなオフィスにしたいと思います。
小:御社の社是は「信は万事の本と為す」であると伺いました。今回のオフィスコンセプトはこの社是を踏まえて関係の質を高め、「信頼と思いやりを育むオフィス」と提案させていただきました。伝統を踏まえたコンセプトなのですが、一方で、企業文化のプロフィール調査の結果を見ると、企業文化の現状認識と将来あるべき姿との間には開きがあり、会社を変えていきたいという社員の皆さんの思いが伝わってきました。
中:私もビジョンセッションに社員と一緒に参加して気づいたことですが、普段から言ってきたことが、参加者のコメントに表れており、非常に心強く感じました。
小:経営者のビジョンはオフィスづくりにとっては中核となる部分で、これが社員の方と上手に共有されていることは、実はオフィスづくりの成功の鍵になります。今後は、さらに具体的な機能的要件や推奨するレイアウトのパターンなどを中心にカタチにしていく作業になりますが、先日訪問させていただいた時に、既存のデスクを推奨プランのレイアウトに変更されていましたね。
中:ええ。本格的なオフィスリニューアルに先立ち、実験的に提案いただいたレイアウトに今あるデスクを動かしてみました。全体に非常にスッキリして評判もいいようです。
小:オフィスの変革は、可能ならば日々変化させながら定着させるのが一番いいのです。その意味で、まずデスクを動かして体験されたのは素晴らしいと思います。いよいよこれからが本番を向かえる訳ですが、ドウマとして、新しいオフィスの完成までお手伝いしていきたいと思います。本日は、ありがとうございました。