専門誌OEの連載第5回が掲載されました
ワークプレイスコンサルティングの現場から
-第5回-
DOUMA代表
小澤清彦
知識のネットワーク
今や知識が最も重要な資産であることを疑う人はほとんどいない。それは、変革のエンジンを動かす燃料であり、荒れ狂うビジネス環境で会社を安定させるものだ。良い人材を獲得することは必要だが、それだけでは不十分である。求められているのは良い人材が継続的に学習し、情報やアイデアを共有し、互いに切磋琢磨することだ。しかし、学習やそれに伴うリーダーシップなどが展開する場所はこれまで看過されてきた。互いに30メートル以内に座っていたとしても、めったに会うことのない人々をどうやって監督したりコーチングしたりできるのだろうか。新人たちは具体的に何処で仕事を学び、熟練者の経験知に触れることができるのだろうか。逆に新人たちが年功者に新しい技術や方法、考え方を教えるのは何処なのだろうか。成功した企業では、毎日、ワークプレイスのあちこちで、公式、非公式を問わず重要な学習が行なわれている。従って、オープンなオフィスであれ、囲われたオフィスであれ、職場環境は今でも大きな影響をもっている。電子的なデータベースにアクセスできることは便利だが、社会的ネットワーク分析の先駆者であるヴァルディス・クレブスが指摘するように「社内の人々が交流することによる効果的な知識の伝搬は付け足しの恩恵ではなく、ビジネスにとって必須のものである。」 (写真1)